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ショーケース越しに見えたもの|お客様の顔が、菓子をつくる理由になった|半人前、と言われた日
「おまえはまだまだ半人前だ」ショーケース越しに、言われました。他のお客様も、いました。顔が熱くなりました。 先代が逝った頃先代が逝きました。4年間、闘い続けました。がんの再発でした。最後は病院で、静かに逝きました。私はまだ、職人として半ば... -
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甘味屋という場所|大正・昭和・平成・令和、四つの時代を生きた店|カウンター越しに見えたもの
店を閉める日最後にカウンターを拭きました。何万回と拭いたカウンターです。染み込んでいるものがある、と思いました。大正の頃から、この甘味処は続いていました。 大正の頃、街道沿いの店甘味処の始まりは、大正の頃です。和菓子店に併設する形で、始ま... -
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値段をつけること|職人の時間に、値段をつける難しさ|この一個はいくらか
値段は、嘘をつかないだからこそ、怖い。若い頃、安くしすぎた日がありました。それはそれは売れました。でも、後悔しました。 値段の中身御菓子一個に、値段をつけます。原材料費。光熱費。時間。そして、技術。そこに経験や個性も入ります。原材料費は、... -
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饅頭|皮と餡の、対話|どちらが主役で、どちらが脇役か
破れました包んでいる途中で、皮が裂けた。餡が、はみ出してきました。饅頭は、皮と餡でできています。それだけです。でも、その二つのバランスが、すべてを決めます。皮が厚すぎれば、餡の味が消える。薄すぎれば、破れる。餡が多すぎれば、形が崩れる。... -
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羊羹|一本の中に、職人の時間が流れる|炊いて、練って、流して、固める
固まっていない型から出した瞬間、わかりました。その日の羊羹は、使えませんでした。 羊羹という菓子羊羹は、時間の菓子です。艶のある、黒に近い深い色。でも、その一本をつくるまでに、いくつもの判断があります。一つでも外れると、羊羹にならない。 ... -
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練り切り|職人の手が、季節をつくる|色と形に、心を込める
これが何になるか白い塊が、手の中にあります。それを決めるのは、職人の手です。色をつけて、形を整える。それだけです。でも、その「それだけ」の中に、すべてがある。和菓子の中で、最も自由な菓子です。決まった形がない。決まった色がない。職人の感... -
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おはぎと職人|もち米との格闘|蒸し上がりが、すべてを決める
硬かった噛んだ瞬間に、わかりました。蒸し時間が、足りなかった。 こわもちをつくおはぎのもち米は、炊きません。蒸します。こわもちです。蒸籠にもち米を広げて、蒸し器にかける。じっくりと、蒸し上げる。その蒸し上がりが、すべてを決めます。 蒸すと... -
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水無月と職人|外郎生地との格闘|火加減が、すべてを決める
鍋を開けた瞬間わかりました。焦げた香りがしました。やってしまった。 外郎生地という素材水無月の生地は、外郎生地でつくります。米粉と砂糖と水。それだけです。シンプルな素材ほど、難しい。ごまかしがきかない。火加減が、すべてを決めます。 焦がし... -
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柏餅と職人|上新粉との格闘|蒸し加減が、すべてを決める
固くなりすぎたそう気づいた時には、もう遅い。上新粉は、やり直しがきかない。 上新粉という素材柏餅の生地は、上新粉でつくります。白玉粉や道明寺粉とは、違います。粘りが少ない。だから、扱いが難しい。蒸し加減が、すべてを決めます。この素材と向き... -
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桜餅と職人|塩漬けの葉との格闘|手が覚えるまで
桜餅をつくるたびに思い出すことがあります。あの頃、何度葉を破ったか。数えきれません。 道明寺粉との向き合い方葉の話をする前に、道明寺粉のことも書いておきます。道明寺粉は、もち米を蒸して乾燥させ、粗く挽いたものです。水加減が、難しい。多すぎ...