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老舗和菓子屋四代目が語る「売らない商い」――信用から始める、反骨の流儀

「継ぐしかない」

そう腹を括ったのは、27歳の時でした。父が急逝し、私は突然、百年以上続く和菓子店の四代目になったのです。

和菓子の世界は、伝統と格式の世界です。暖簾の重さは、想像していた以上に重いものでした。

逃げ場はありません。やるしかない。ですが、その時、私は一つだけ決めたことがあります。

この場所では、自分の店の商品は扱いません。

店では自分の菓子を販売しています。通販も行っています。それが、私の「商い」です。

しかし、このサイトは違います。ここは、売上を立てるための場所ではありませんし、気まぐれに始めた遊びでもありません。

私にとってここは、生き方の延長としての記録であり、百年の現場で培ってきた目と経験を、次の世代に手渡すための場所です。

商売人として見れば、遠回りにもほどがある選択かもしれません。普通なら、自慢の羊羹や最中を並べ、売上につなげるはずです。それでも、私はやりません。

なぜか。

売り込む商いをした瞬間、言葉はどうしても軽くなるからです。

なぜ「売らない商い」を選んだのか

曾祖父の代から、我が家には言い伝えがあります。

「菓子を売る前に、信用を売れ。信用があれば、菓子は後からついてくる」

派手さはありませんが、この言葉だけは、時代が変わっても色褪せませんでした。

今の世の中は、広告と売り込みで溢れています。自画自賛の商品説明は、もはや誰の心にも響きません。私が自分の店の商品を語り始めた瞬間、それは「商売人のセールストーク」になってしまいます。それだけは避けたかったのです。

だから私は、商いの場と語る場を、きちんと分けました。売る場所と残す場所、稼ぐ場所と伝える場所。その線を引くことが、老舗の人間としての、私なりの筋の通し方です。

私は「目利き」として、ここに立ちます

このサイトで紹介するのは、自分の店の商品ではありません。私自身が心から「これは本物だ」と認めたものだけです。

同業者だからこそ分かる、職人の執念が宿る和菓子。素材の扱い方、火入れ、間の取り方、数字では測れない積み重ねが見える品だけです。

すべて、自分の舌で確かめ、手に取り、家族にも食べさせたものだけを掲載します。曾祖母の代から続く、**静かで厳しい「本物の基準」**を通したものだけです。

群れない。媚びない。筋を通す

このやり方は、正直に言えば効率が悪いです。同業者からは「変わった四代目だ」と言われることもあります。それでも構いません。

群れの中で声を張り上げるより、独りで本物を語り続ける方が、私の性に合っています。筋を通す――それだけは、譲れません。

この場所で築きたいもの

売り込まない。煽らない。ただ、本物を案内する。

そして時間をかけて、信用を積み上げる。

いつか、あなたに「この人が言うなら間違いない」と思ってもらえたなら、それ以上の商いはありません。

これが、老舗和菓子屋四代目としての、私の挑戦であり、誇りです。

次回予告

次回は、和菓子とは何か、そして「本物」はどう見分けるのか。

百年の現場で身についた目を、包み隠さず書きます。

これから、よろしくお願いします。

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