根っこを変えれば、店は終わる
根っこを守れば、店は続く。
伝統を守り、時代に合わせる
商いをしていると、判断を迫られる時があります。
これは、変えるべきか。
これは、守るべきか。
その判断が、事業を守ることでした。
変えてはいけないもの
和菓子の味。
作り方の基本。
お客様への誠意。
これは、変えません。
曾祖父から受け継いだものです。
祖父から学んだものです。
父から見せてもらったものです。
これを変えれば、別の店になります。
曾祖父の教え
曾祖父の言葉があります。
「三つの柱を持て」
「でも、根っこは一つや」
「根っこを変えたら、木が枯れる」
根っこ。
それは、和菓子の味。
作り方の基本。
お客様への誠意。
信用です。
これが枯れたら、店も終わります。
祖父の姿勢
祖父は、変えない人でした。
和菓子の作り方を、変えませんでした。
曾祖父から教わった通りに、作っていました。
ある日、私が言いました。
「もっと甘くしたら、売れるんじゃないですか」
祖父は、首を振りました。
「甘くしたら、うちの味やない」
「うちの味を、守る」
「それが、わしの仕事や」
祖父の姿勢でした。
変えるべきもの
でも、変えるべきものもあります。
包装。
販売方法。
営業時間。
これは、時代に合わせて変えます。
変えなければ、取り残されます。
お客様の生活が変われば、店も変わるべきです。
私の判断 ①:包装の変更
四代目になって、私も判断しました。
包装を変えました。
昔は、竹の皮で包んでいました。
でも、竹の皮が手に入りにくくなりました。
高くなりました。
だから、包装を変えました。
紙の包装にしました。
でも、和菓子の味は変えませんでした。
作り方も変えませんでした。
変えたのは、包装だけです。
私の判断 ②:日曜日営業
父を見送り、甘味屋を始めた時のことです。
日曜日も、店を開けることにしました。
それまでは、日曜日は休みでした。
でも、お客様の生活が変わっていました。
日曜日に買い物をする人が増えていました。
だから、日曜日も店を開けました。
「お客様の生活が変わった」
「店も、変わらなあかん」
でも、和菓子の味は変えませんでした。
変えたのは、営業時間だけです。
判断の基準
今、私にも判断の基準があります。
① これは根っこか?
根っこは、変えません。
和菓子の味。
作り方の基本。
お客様への誠意。
これは、根っこです。
変えません。
② これは枝葉か?
枝葉は、変えます。
包装。
販売方法。
営業時間。
これは、枝葉です。
時代に合わせて、変えます。
③ お客様のためか?
お客様のためになることは、変えます。
お客様のためにならないことは、変えません。
この基準が、一番大切です。
変えることも、変えないことも
変えることも難しい。
変えないことも難しい。
伝統を守りたい。
でも、時代に合わせないと、取り残される。
周りが変わっていく。
「時代遅れだ」と言われる。
でも、変えてはいけないものがある。
伝統を守りながら、時代に合わせる。
その判断が、一番難しい。
失敗もあった
変えて、失敗したこともあります。
ある日、和菓子の大きさを変えました。
「大きい方が、喜ばれるだろう」
そう思いました。
でも、お客様から言われました。
「前の大きさの方が、良かった」
すぐに、元に戻しました。
その時、学びました。
変えていいものと、変えてはいけないものがあると。
お客様の声
お客様の声は、大切です。
「これは、変えないでほしい」
そう言われたものは、変えません。
「これは、変えてほしい」
そう言われたものは、変えます。
お客様の声が、判断の基準です。
伝統とは何か
伝統とは、何でしょうか。
昔からのやり方を、そのまま守ることでしょうか。
私は、違うと思います。
伝統とは、変えてはいけないものを守りながら、時代に合わせて変えることだと思います。
根っこを守りながら、枝葉を変える。
それが、伝統を守るということだと思います。
曾祖父の店と今の店
曾祖父の店と、今の店は違います。
包装が違う。
営業時間が違う。
販売方法が違う。
でも、和菓子の味は同じです。
お客様への誠意も同じです。
根っこは、同じです。
だから、伝統を守っていると言えます。
経営者として
経営者として、判断することは、孤独です。
守るか、変えるか。
誰も、答えを教えてくれません。
自分で、決めます。
その判断が、店の未来を決めます。
結び|根っこを守る
変えること。
変えないこと。
その判断が、店の未来を決めます。
その責任を負うのが、経営者です。
根っこは、変えない。
枝葉は、変える。
お客様のために、判断する。
これが、私の基準です。
曾祖父の「根っこを変えたら、木が枯れる」という言葉。
祖父の「うちの味を、守る」という姿勢。
その教えを胸に。
今日も、判断します。
変えるべきものと、守るべきものを。
それが、伝統を守るということです。
次回予告|嘘をつかない|祖母が守ったもの
次回は、祖母の生き方について書きます。
嘘をつかないこと。
正直に生きること。
祖母が守った品格をお伝えします。
根っこを守ること、伝統と革新について記録しました。
